2013年01月21日

動くために

無垢の木は、家具になっても収縮と膨張を繰り返している。
これを木が動くという表現を使っている。
動くならばその動きを妨げないようにと、先人は工夫をしてきた。
その最たるものが「蟻」、英語ではDove Tail(鳩の尾)という。
洋の東西を問わず、同じ方法が使われている。
写真は天板の裏に加工された反り止めのための蟻桟である。
天板が動いても桟がスライドすることで、天板との密着性を保つため、
反りを抑える方向に働く。

DSC00256_R.JPG

最近、「動的平衡2」を読んでいる。
人は変わらないように見えて、細胞より小さいレベルでは絶え間なく分解と生成を繰り返している。
それは地球環境の中の流れの一部であると。
家具は生物ではないけれど、生きていると感じるのは、
環境の大きな流れの中にあるから。
動かない工夫も大切だけれど、動くものも愛おしい。





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2012年08月01日

イスの生地張りのお話

先日、椅子の生地を専門に張ってくださる職人さんとお話をする機会がありました。
山梨でも数が少なくなってきて貴重な職人さんです。
再利用の関心が高まっていること、新規購入を控える傾向、
などが重なっており、張替の依頼は非常に多いとのこと。
需要があるのにできる人がいないため、仕事が集中するようだ。
この職人さんにも後継者はなく、山梨では自分がいちばん若いので、
自分の後はいないのではと懸念している。
これまでのモノづくりの方向性で腕のいい職人さんが仕事を失ってきた結果である。

さて、その職人さんの話を一つ。安い家具が今は全盛という感じだが、
ソファなどの海外格安品は要注意とのこと。
張替のために剥がすと、本体が酷いものが結構ある。
流木や合板の破片をホチキスで留めているようなものまであるとのこと。
日本製は安いものでもそこまではないので、中が見えないタイプのイスの激安品はちょっと。

同じ家具を作る人間として、見えないところは、とことん手を抜くというやり方は納得できない。
日本人の美意識と誇りは捨ててはいけないと肝に銘じた。
ちなみにZEROSSOの家具は、後ろ姿が美しいので壁につけなくても使える、
というのを一つの売りにしている。
これも続けていこう!



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2011年12月21日

YASUSHIの家具作り その5

今日はBOX本体と脚部の連結部分の構造です。
脚部側からビス止めすればOKでしょうが、木組みにコダワル作品としては「寄せ蟻」という方法を使用しています。いかにも指物的な感じがする方法で、伝統工芸的な作品にはよく使用されています。

ここでは、いつも紹介しているキャビネットではない作品の写真で説明します。
断面が蟻型となるような桟を交互に作ります。
3つの蟻型の部分とその間にある部分、合計5つの凸凹が加工されています。
一方、それを受ける側には、それに対応するメス部分が加工されています。
桟を本体にストンと落とし、前にスライドさせると蟻のオスメスが噛み合って抜けなくなります。

CIMG3314_R.JPG


こういう方法を言葉で説明するのはホント難しいですね。わかりずらいかと思いますが、ストンと落としてググッとスライド、とイメージしてくださいね。

組んでしまうと外からは中の様子がわからないので、表面的には普通にしか見えません。見えないところに工夫が施されているというのは、職人の粋を感じます。効率やコスト面を考えれば削られてしまうような部分ですが、私の中では大切にしていきたいですね。
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